「Audible」の未来を切り拓いた記念碑的一冊、『田中角栄 心をつかむ3分間スピーチ』とは


Amazonが仕掛ける、本の朗読配信サービス「Audible」。“オーディオ・ブック”という呼び方をされることもあるこのサービスは、ホントにただ、本の朗読音声を垂れ流すだけの代物なんですけれども、両手と両目の自由が得られるので、混み合った通勤電車内、駅までの道中、家事の最中、寝る前など、スキマ時間に場所を選ばず読書を楽しむことができます。

実は、ラインナップも充実してます

ローンチ段階での微妙なラインナップに加えて、日本国内での認知拡大がさほどうまくいっていないことも手伝って、オーディオ・ブックというとどうしても、青空文庫に毛が生えたようなものが想像されがちです。しかし今や、ちきりん著『ゆるく考えよう 人生を100倍ラクにする思考法』、池上彰著『知らないと恥をかく世界の大問題』シリーズなど、新しくて人気のある書籍も意外なくらい豊富になりました。

また、ダン・ブラウン著/越前敏弥訳『ダ・ヴィンチ・コード』、京極夏彦著『百鬼夜行 陰』などの文学では、男声と女声とで別々の声優さんを起用し、しっかり演技までつけてくれているので、臨場感も抜群! 大作映画を直接脳に流し込まれているかの如き快感を手軽に味わえるのです。

 

というわけで、僕は「Audible」に日々お世話になっておりまして、そうですね、4ヶ月で50冊くらいは読んでいただいたかと思います。

中でも一番度肝を抜かれたのが今回ご紹介する、小林吉弥著『田中角栄 心をつかむ3分間スピーチ』。朗読は、アーティストクルー所属の山本五郎さんです。

究極の読書体験の具現化

内容は、

一九七〇年代、抜群のリーダシップのもとで戦後復興、高度経済成長に向けて多くの政策を推進させた田中角栄。三十三本もの議員立法(自らで法律をつくる)の成立、国民の度肝を抜いた構想「日本列島改造計画」、命懸けで斬りこんだ「日中国交回復」など戦後歴代首相のなかでは最も多くの仕事に立ち向かったと言っていい。その田中角栄は、演説やスピーチが抜群に上手かったことでも有名だ。社会での「実学」で得た人間洞察力、「情と利」による人心収らん術に加えあのユーモアと毒たっぷりの「角栄節」に、日本中が熱狂した。本書は昭和四十四年十二月の自民党幹事長時代から亡くなるまでの二十四年間のなかから厳選した、66の演説をピックアップ。あの石原慎太郎氏も舌をまく伝説の演説集!

という感じで、いわゆる“自己啓発”系の書籍としては(採り上げるテーマの面白さを抜きにして)、それほど驚きに満ちているものでもありません。

 

では、僕は何に度肝を抜かれたのか?

 

それは、スピーチの引用箇所がすべて、“本人風のダミ声”で朗読されていたこと! かの「三国峠を切り崩す!」「すべての責任は、この田中角栄が取る!」をはじめとしたおなじみの角栄節を、本人風のダミ声で浴びることができるのです(しかも詳説つき)。

 

なお、スピーチの引用箇所は、少なからず、言葉が選び直されていたり、構成し直されていたりするので、必ずしも“完全なモノマネ”になっているわけではありません(ちなみに、角栄氏ご本人の方が、さらに極端な抑揚&緩急をつけています)。が、それでもやっぱり、「嗚呼、これが角栄節か……。こりゃ、心をつかまれちゃうわ!」という説得力が半端ない。

本の論旨が音声で裏打ちされているので、字面そのものからだけでなく、さまざまな感覚器官からその内容が体にシュワワーッと浸透してくるんです。そう、「Audible」はついに、いやむしろ山本五郎さんはついに、「Audible」でなくてはなし得ない究極の読書体験を具現化したのです!

まとめ

クワトロ大尉のダカール演説やギレン総帥のガルマ国葬演説など、演説が大好きで仕方ない! という方もたくさんいらっしゃることでしょう。この連休、『田中角栄 心をつかむ3分間スピーチ』は必聴です!

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