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Behringer「TD-3」は、優秀な303クローン!

Behringer「TD-3-AM」が届きました。「TD-3」シリーズは、代えのきかないベース・シンセサイザーとして今でも根強い人気を誇るRoland「TB-303」を模した、モノフォニックのアナログ・シンセサイザーです。

どの辺が似ているのか、どの辺が違うのか。いろいろな面から観察してまいります。

ビキビキ系ならオリジナルに肉薄

いきなり本題に入りますが、音はかなりRoland「TB-303」に似ています。特に、ビキビキ言わせるアシッドなフレーズだと、私には、ほぼ聴き分けができませんでした。もちろん演奏するとなると、ツマミとサウンドの連動感や変化具合の差異はあるかと思いますが、単純に似た音が欲しい、という需要には十二分に応えてくれるはずです。

音の面であえて違いを挙げるとすれば(これは、比べるオリジナル303の個体差も大きいでしょうが……)、カチッとしたアタック感が少々わざとらしいところと、フィルターを閉じ気味にしたときの雰囲気が明るめなところでしょうか。

使いにくいシーケンサーも踏襲

▲「TB-303」のオーナーズ・マニュアルより引用。冒頭に、シーケンサーの概念を丁寧に解説するページが設けられています。当時もやっぱり難解だったようですね。

良い意味なんですけど、めちゃくちゃ使いにくいシーケンサーもオリジナルを踏襲した操作感になっています。

具体的には、1小節ぶんの音高をあらかじめ決めてしまい、あとから、それぞれがどれくらいの音価なのか、アクセントがあるのかないのか、を入力していくスタイルなのですが、まぁ思いどおりに作れないことこの上ない! むしろ、グチャグチャやって神が降りてくるのを待つ、っていう使い方もド定番のひとつだったりするらしいので、小難しいことを考えずノリノリで戯れるのが良いのかもしれません。

そつな過ぎるエフェクターは賛否がわかれそう

303の“沼”は恐ろしいことに、二段底になっています。一段目は言わずもがな、実機、または納得できるクローン音源、もしくはその両方を手に入れる段階です。なんやかんやでお気に入りと出逢い、腰まで沼に浸かった頃には、“お供のディストーション”を探す、という新たなクエストが自然発生するため、さらにズブズブと深みを目指すことになります。YouTubeを見ていると、Pro Co「RAT」シリーズやIbanez「Tubescreamer」シリーズなど、ギターのストンプ・ボックス(コンパクト・エフェクター)が好んで用いられているようですが、誰にも見つけられていない“シンデレラ・フィット”なお供を探し当てるため、多くのマニアが現在進行形で日々奮闘していらっしゃいます。

さて「TD-3」には、ご丁寧に、世界的な銘ストンプ・ボックス(BOSS「DS-1」)を模したディストーション・エフェクターが搭載されています。なんとなくザラつくだけで、さほど深くは歪みませんが、効果を大きくしていっても低域が削れないところは好印象でした。

ただ、毒にも薬にもならない雰囲気なのと、1台完結することにまったく意義を感じない性分なので、「本当に必要な機能なのかなぁ……」と私は感じてしまいました。

電池駆動はオミット

オリジナル303は、“ポータブルなバッキング・バンド”というコンセプトで開発されており、ACアダプター(BOSS「ACA-100」)駆動だけでなく、電池(単2形×4)駆動もします。

一方「TD-3」は、電池駆動に対応していません。手軽さという点では残念な仕様ですが、昨今は、大容量のモバイル・バッテリーがメキメキ進化してるので、どうしても持ち歩く必要がある場合さえ、ほとんど問題にならないのかもしれませんね(リビングでチョチョイと遊ぶ用途には、電池駆動に対応していてスピーカーも内蔵しているKORG「volca nubass」がオススメです!)。

ちなみに、「TD-3」の本体は、メチャクチャ軽いです。

とりあえず持っていて、損はない!

私自身、ビキビキやる音楽とは無縁の人生を送ってまいりましたので、正直なところ、「TD-3」を買わねば! という衝動は1mmもなかったのですが、アナログのハードシンセがこのお値段でッ!? という意味において、なんだかんだ満足度は激高です。

すべての303クローンを知り尽くしているわけではありませんが、実売価格まで考慮すれば“極めて優秀”なプロダクトだと思います!

一家に1台、ビキビキ界からの刺客!
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