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是非の初心忘るべからず、「Greg Wells Signature Series」

真夜中、チクチクとボーカルの処理をしていたときに、「はて、海外のボーカル処理ってどんな感じなのだろう?」という疑問が生じ、こちらの「Greg Wells Signature Series」を使ってみました。

“ほぼOne Knob”のイカしたプラグイン集

Waves「Greg Wells Signature Series」は、プロデューサー/エンジニアとして名高いGreg Wellsさんが生み出すワールド・クラスのサウンドを再現できる、VST/Audio Units/AAX互換プラグイン・エフェクト集です。

アナログ風味を付加する「Greg Wells ToneCentric」、バスの最終段に用いてミックスを整える「Greg Wells MixCentric」、ピアノに特化した「Greg Wells PianoCentric」、ボーカルに特化した「Greg Wells VoiceCentric」の4つのプラグイン・エフェクトが収録されており、どれも中央のツマミ+αで調整できるのが特徴です。

シミュレーションに使われた機材は一切明示されていませんが、彼が所有する「Rocket Carousel Studio」に設置されたアウトボードの銘機たちの挙動を細かく組み合わせることで、ツマミのすべての位置がなにかしらのサウンドに最適な効果を発揮するよう計算されているそうです。

つまり、私たちのやるべき作業は、楽曲を再生しながら巨大なツマミをグリグリ回して、スイート・スポットを見つけ出すことだけ! なのです。

見た目は似てるけど、まったく違う4製品

「Greg Wells ToneCentric」

「Greg Wells ToneCentric」は、アナログ機材のような優しい飽和感と倍音を付加するエフェクターです。

インサートで使うぶんには、一般的なアナログ風サチュレーションと同等の使用感(美味しい帯域が持ち上がっていき、グッと来るサウンドに仕立ててくれます)なのですが、ご本人の使い方を真似してマスター・バスに挿してみたところ、近い音はさらに近く、遠い音はさらに遠くなり、音全体の奥行き感と輪郭が強調される、という驚きの効果を得られました。オススメです。

「Greg Wells MixCentric」

「Greg Wells MixCentric」は、楽曲全体をイイ感じに仕上げてくれるマスター・バス用のエフェクターです。

ご本人曰く、イン/アウトの値を参照しつつ、“いくつかのEQと、たくさんのコンプ”をゴニョゴニョしているそうで、[INTENSITY]を上げていくと、音にハリが生まれ、立体感のある力強い印象に変わっていきます。

マスター・バスに、“これひとつでまとまっちゃいます!”的なエフェクターを挿すのはなかなか勇気がいることで、私自身、極力避けているのですが、この「Greg Wells MixCentric」は、もともとの楽曲の印象をブッ壊すことなく、風味を豊かにしてくれるため、好感が持てました([GR]がかかり過ぎないように、[INPUT]を調節する必要はあると思います)。

「Greg Wells PianoCentric」

「Greg Wells PianoCentric」は、ピアノのサウンドをイイ感じに仕上げてくれるインサート用のエフェクターです。

ツマミを右側に回すと、透明感とアタック感が強調されます。ツマミを左側に回すと、ローファイでナロウな雰囲気になっていきます。

ピアノ用のエフェクターではあるのですが、他にボーカルやドラムが入ることを想定した俯瞰的なセッティングになっている、とのことで、“音の棲み分け”に困っていらっしゃる方は要チェックのエフェクターです。

「Greg Wells VoiceCentric」

「Greg Wells VoiceCentric」は、ボーカルをイイ感じに仕上げてくれるインサート用のエフェクターです。

ご本人曰く、“2種類のコンプと、美しいEQ”をゴニョゴニョしているそうで、ボーカルを、薄皮一枚剥いだようなヌケの良いサウンドに変えてくれます。

関連する動画を見る限り、Greg Wellsさんはこの「Greg Wells VoiceCentric」の出来に、もっとも満足しているのではなかろうか、と思います。

聴くことにこそ集中しましょう

コンピューターでオーディオを扱っていると、音を聴くことよりもパラメータの値を見ることに重きを置いてしまうことが多々あります。手札に“勝ちパターン”が増えてくることで、「あぁ、コレ系の音は1.5kHzを-3dBして~」というふうに、数値で音を作ってしまうのです。本来は、想像の中にある目指したい音へと、耳だけを頼りに、にじり寄るようにチューニングしていく方が誠実な姿でしょう。

そういった意味で、「Greg Wells Signature Series」の先入観を生まない研ぎ澄まされたUIは、音楽家のための、ひたすら実直&ストイックな環境と言うこともできるのではないでしょうか。

「Signature Series」は、どれもかなり使えます
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