TAK-H.NET

美を求め60年前へタイム・トリップできる「BLOND」

真空管、レコード、そしてアナログ・シンセサイザーを経て、カセット・テープの音質までもがもてはやされる時代になりしばらくが経過しました。人類はまさに、「どのような汚さが、もっとも美しいのか?」という神秘的な問いの答えを探す“逆行の旅”の真っ只中にあるのです……!

「BLOND」とは

Acustica Audio「BLOND」は、イタリア製の激レアなビンテージ機材を再現した、VST/AAX互換プラグイン・エフェクト集です。下記の4つのプラグイン・エフェクトと、それぞれのゼロ・レイテンシー・バージョン(若干、処理を端折っている)がバンドルされています。

「BLOND EQ」:ミックス/マスタリングに使える2つの4バンドEQを再現

「BLOND PRE MIXER」:5つの個性的な2~3バンドEQを再現

「BLOND PRE」:74種類のプリアンプを再現

「BLOND COMP」:5つのダイナミクス・プロセッサーを再現

「BLOND EQ」

「BLOND EQ」は、2つのEQと48種類のプリアンプ・エミュレーターを搭載するプラグイン・エフェクトです。2つのEQは、画面左上の[A][B]のボタンで切り替えます。EQを切り替えてもツマミの位置は変わらないので、比較検討しやすく便利です。

[A]ボタン側で再現されているのは、「EP600」という名の、イタリア国営放送(Radiotelevisione italiana)で使われていたハンドメイドEQだそうです。パラメトリックEQっぽい外観ですが、エディットできる周波数が大雑把なステップ式になっているため、どちらかと言うと、グラフィックEQに近い手触りです。

[B]ボタン側で再現されているのは、透き通ったサウンドに定評のあるマスタリング用4バンド・パラメトリックEQだそうです。ブーストした際に、音のパワーがギュッと凝縮される感じになります。

プリアンプ・セレクターでは、[A]のプリアンプ(23チャンネル分)と[B]のプリアンプ(1チャンネル分)の中からお好みのチャンネルを選択し、音に味付けをすることができます。

「BLOND PRE MIXER」

「BLOND PRE MIXER」は、5つのEQと24種類のプリアンプ・エミュレーターを搭載するプラグイン・エフェクトです。「BLOND EQ」と同様、ツマミの位置を保持しながら機種を変更できるため、比較検討が容易です。

[BSN][APX][AVX1][AVX2][MZI]の5つのボタンで切り替えられるEQたちは、1960~80年代のイタリア製スタジオ機材をエミュレートしているそうです。EQなのに「BLOND EQ」に含めてもらえなかったのは、そのピーキーなかかり方ゆえ。中には、パネルの表記と実音がかけ離れている機種もあるそうで、アグレッシブに感性を揺さぶってくる、なかなか手ごわいエフェクターに仕上がっております。

プリアンプ・セレクターでは、[BSN]のプリアンプ(18チャンネル分)、もしくは、[APX][AVX1][AVX2][MZI]のそれぞれに対応するプリアンプと[GL1][GL2]と名付けられた1958年のイタリア製真空管プリアンプの中からお好みのチャンネルを選択可能です。

「BLOND PRE」

「BLOND PRE」は、74種類のプリアンプを再現する、プリアンプ・エミュレーターです。

[LINE EP]と[MIC EP]は70年代のイタリア製コンソールのプリアンプ部を、[BSN]は「BLOND PRE MIXER」でも登場したイタリア製コンソールのプリアンプ部を、[CUSTOM]はGUIに表記されている機材のプリアンプ部を、それぞれ再現しているそうです。

[CUSTOM]以外の横軸は、同じ機材のチャンネル違いなので、切り替えてもさほど大きな差を感じることはできないでしょう。しかし、DAWのチャンネルと数字を合わせて使えば、「あぁ、今私はビンテージのコンソールの前に座っているのだぁ~」というロマンに浸ることができるはずです(クロストークがシミュレートされているかどうかは謎ですが)!

「BLOND COMP」

「BLOND COMP」は、5つのダイナミクス・プロセッサー(FETコンプレッサー×2/光学式コンプレッサー/真空管コンプレッサー/真空管プリアンプを持つリミッター)を搭載するプラグイン・エフェクトです。

元の機材が激レア過ぎて、似ているのか似ていないのかはまったく判断できませんが、アタックを遅めに、フワッと優しくかけてあげることで、アナログらしいふくよかで澄んだサウンドを楽しめます。

進化を超えるサウンドがある

時の流れを逆行し最大1958年まで遡ることができるAcustica Audio「BLOND」、いかがでしたでしょうか。導入で“汚さ”という言葉を使ってしまいましたが、思いの外、麗しいサウンドで心底驚かされました。フル・デジタル化による再現性の向上、つまりトータル・リコールの素晴らしさは、今さら私が語るまでもないことではありますが、やはり言語化できない多くの“何か”を捨てて来てしまったのではないか、そのようにも思えてまいります。

Exit mobile version