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「Microcosm」で、甘美な音の小宇宙へと旅立とう!

ストンプ・ボックス・タイプのエフェクターって、ラック・タイプのアウトボードよりも音質的に不利ですし、デジタルであれば結局中身はソフトウェアと同等ですし、7セグメント・ディスプレイさえなくて操作しづらいことこの上ないんですけれど、そこに宿るチャレンジ・スピリッツって言うんでしょうかねぇ、ついつい心を射抜かれちゃうんですよねぇ~。

「Microcosm」とは

Hologram Electronics「Microcosm」は、グラニュラー系サンプラー/ディレイ/フィルター/エンベロープ・シェイパー/ピッチ・モジュレーション、そしてステレオ・リバーブが渾然一体となって、入力音をまったく未知のサウンドに変貌させてしまうストンプ・ボックス・タイプのエフェクターです。

上記のエフェクト部に加えて、最大60秒間、何度もオーバー・ダビングできる機能を持つステレオ対応のルーパー部を備えているので、独奏を楽曲ライクなパフォーマンスへと発展させることも可能です。

ちなみに、ギター・エフェクターとしての評価は、“変態的”“スペーシー”“雰囲気系”“アウト・オブ・コントロール”などの言葉が踊るとおり、概して“不可解で珍妙なもの”とされているようですが、リアルタイムに動かすべきパラメータを整理しておくだけで、意図した音を出せるようになると思います。また、そういったコントロールは、“シンセサイザーの人”こそが得意とするところでありましょう。

充実のプリセットは全44種類!

小難しそうな外見ではありますが、基本的な使い方は、[TIME]ツマミでグローバル・テンポを確定したうえで、[Preset Selector]ツマミをくるくる回して好みのエフェクトを選択するだけ、です。

[Preset Selector]ツマミで選択できるエフェクトは、大別して4タイプ。各タイプごとにさらに2~3種類のバリエーションがあります。

  • [MICRO LOOP]:フレーズの一部分を繰り返すタイプ
    [MOSAIC]:さまざまな速度で繰り返す
    [SEQ]:リズムを再配置して繰り返す
    [GLIDE]:繰り返すごとにピッチが変わる
  • [GRANULES]:音の断片からドローン系サウンドを生み出すタイプ
    [HAZE]:ごく短い音の断片がどんどん入れ替わる
    [TUNNEL]:音の断片を周期的に繰り返す
    [STRUM]:最終入力音を繰り返す
  • [GLITCH]:入力音をリアルタイムに再配置するタイプ
    [BLOCKS]:入力音を一定のパターンで再配置する
    [INTERRUPT]:エフェクト音が入力音に割り込む
    [ARP]:入力音を分散和音のように散らす
  • [MULTIDELAY]:複雑な鳴らし方ができるディレイのタイプ
    [PATTERN]:4つの異なるリズムを持つディレイ
    [WARP]:フィルターとピッチ・シフトがかかるディレイ

これらのエフェクトにはそれぞれ、[A][B][C][D]の4つのプリセットが用意されていて(つまり11種類×4プリセット=44音色!)、音作り/音選びを強力にサポートしてくれます。

各ツマミの機能

[ACTIVITY][REPEATS]は、エフェクト・タイプごとに異なる機能が割り当てられており、ひとことでは言い表せないツマミなのですが、ザックリと、[ACTIVITY]はエフェクトの頻度を、[REPEATS]はエフェクトの持続時間を調節できます。

[SHAPE]は、エフェクト音のエンベロープを調節できます。[SHIFT]を併用すると、ピッチ・モジュレーションの速度を調節できます。

[FILTER]は、いわゆる「カットオフ」と同じで、ロー・パス・フィルターがかかる周波数を調節できます。[SHIFT]を併用すると、レゾナンスを調節できます。

[MIX]は、入力音とエフェクト音のバランスを調節できます。[SHIFT]を併用すると、エフェクト音のマスター・ボリュームを調節できます。

[SPACE]は、リバーブのドライ/ウェットのバランスを調節できます。[SHIFT]を併用すると、キャラクター(Bright Room/Dark Medium/Large Hall/Ambient)とリバーブ・タイムを調節できます。

[LOOP LEVEL]は、ルーパーの再生音量を調節できます。[SHIFT]を併用すると、ループのフェード・タイムを調節できます。

不思議系エフェクターは無闇矢鱈とツマミを操作したくなるものですが、音色を決め込んだら、リアルタイムに動かすのは[ACTIVITY]と[FILTER]あたりに留めておくと、焦点のハッキリした効果を得られると思います。

楽曲制作に使ってみました

さて、「Microcosm」を使って、1曲こしらえてみました。クリストファー・ノーラン監督の『Tenet』を観て受けた大きな感動を無濾過で楽曲に昇華しようと試みたもので、タイトルはズバリ『Inversion』です。

逆行(逆再生)するギターの旋律に、順行(通常再生)する「Microcosm」のエフェクト音を乗せることで、順行とも逆行とも判別できないフワフワした音空間を演出しました。使っている音色は、[MOSAIC]の[A]プリセットを改変したもの。[ACTIVITY]ツマミでリアルタイムに音数の出し入れをしています。

「Microcosm」の独特なサウンドおかげで、表現したかった“秩序と混沌のギリギリのライン”をうまく狙えた、と思います。もっとも、「Microcosm」を“既存のデジタル・エフェクターの集合体でしかない”と言い放ってしまうこともできるのかもしれません。しかしながら、小箱の中だけで手品の如く変幻自在なサウンドを紡ぎ出せる、という風流な現象に、私は、DAWでプラグインを立ち上げまくってそれっぽい音を再現するのとはまったく異質の、リアルな快感を味わわずにはいられないのです!

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