久々に興味深いモデリング音源、「MODO BASS」登場


mb_1

フェラーリの本拠地として名高い、イタリアはモデナにある楽器メーカー(と括ってしまうのは申し訳ないのですが、ここでは単純化して)のIK Multimediaが、同じくイタリアにあるパドヴァ大学と、8年間にもおよぶ産学連携を経て、かなりリアルな“フィジカル・モデリング”のエレクトリック・ベース音源を生み出しました。

その名は、「MODO BASS」。

そもそもフィジカル・モデリングとは、コンピュータ上で音=振動を仮想合成/物理シミュレートする技術です。楽器の材質/大きさ/共鳴など、膨大な要素をバーチャルに組み立てて、発音のメカニズムを事細かにシミュレートし、最終的に音として出力します。バーチャルなシミュレートなので、実在する楽器の表情を真似るだけではなく、“全長100mのアコースティック・ギター”だったり、“木管楽器のリードをヴァイオリンの弓でこする謎楽器”だったりを再現(?)することもできるのです。

vl1_1

1993年リリースされたモデリング・シンセ、YAMAHA「VL1」です。この頃のモデリング技術は、物理的な振動のみに特化していましたが、後に、電子回路のシミュレーションが組み合わさるなど、多様化/複雑化して現在に至ります。

そのフィジカル・モデリングを、世界ではじめて搭載したのは、YAMAHAのシンセサイザー「VL1」でした。

「VL1」がリリースされた90年代初頭は、音を、その立ち上がりの瞬間から、響きが安定し持続するところまで、ひとつひとつバカ正直に録音し、そして、バカ正直に再生する“PCM方式”(=サンプリング)が、主流だったのですが、数多の楽器をサンプリングしてシンセサイザーに内蔵するには、あまりにも搭載しているメモリの容量が少な過ぎました。そういった、メモリ不足に起因するサンプリングへの閉塞感が漂い、満ちはじめた頃に誕生したフィジカル・モデリングは、メモリ容量に依存せず、バーチャルな演算だけでさまざまな音を再現できるため、救世主のような扱いで、一気に大きな潮流を作り出したのです。

現在では、メモリの大容量化にともない、その制約から解放されたサンプリングが復権を果たしていますが、それでもなお、フィジカル・モデリングならではの、微妙なニュアンスの再現力や技術的な興味深さから、ファンが多いのも事実です。

mb_2

4弦プレシジョン・ベースに、太めのラウンド・ワウンド弦を使用し……。という感じで、まるで演者のようなセッティングが可能です。

mb_3

ピックアップの交換はもちろん、マウント位置の調整も自由自在です。

mb_4

同社の十八番技術である、モデリングのアンプとモデリングのエフェクタが付属しています。過去に、云千万円の機材を使って出していた音が、2諭吉ほどで手に入ります(笑)。

mb_5

音に影響する要素がまとめられています。指弾きから開放弦を1発だけスラップ、とかやりたかったんだよなぁ!

 

プリセット音色の紹介です。同じメロディだと比べやすいですね。

泣く子も黙るDream Theaterのキーボーディスト、Jordan Rudess御大のデモ演奏をどうぞ。

 

さて、前置きが長くなりましたが……材質や奏法やピックアップや弦の響きをシミュレートするフィジカル・モデリングのエレクトリック・ベース音源が、“ベーシストの弾いた音をバカ正直に録音したサウンド”にどれくらい肉薄できるのか。この「MODO BASS」がリリースされたら、ぜひ自分の耳でも試してみたいな、と思っています。

 

追記:リリースされたので試してみました、コチラもどうぞ!

「MODO BASS」レビュー

Leave a comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です