3月3日と言えば、“今日は楽しい、ひな祭り”であるとともに、我らがRoland「TB-303」の日でもあります。さぁ、盛大にお祝いしようではありませんか！
「GB-303」とは
Furrtek Engineering「GB-303」は、ゲームボーイをRoland「TB-303」に変えてしまうカートリッジです。基板からニョキニョキとツマミが飛び出しているスタイルは、果てしなく衝撃的ですね！
▲“Tracker”タイプのシーケンサー。左から、ノート＆オクターブ、アクセント、スライド、オシレーター・タイプ、アルペジオ、リズム音色が割り当てられています。
▲ピアノロール・タイプのシーケンサー。□はノートを、▽はオクターブ下を、△はオクターブ上を、✕印の入った□はノート・オフを表します。なお、このピアノロール・タイプのシーケンサーでは、アクセントやスライドを打ち込むことはできません。音源は、ベース・パートとリズム・パートの2パート構成で、それぞれの最大同時発音数は1音。ベース・パートのオシレーターをノコギリ波か矩形波かで切り替えられるなど、実機を強く意識した細やかなこだわりが随所に散りばめられています。シーケンサーは、「Little Sound Dj（LSDj）」などでもおなじみの“Tracker”タイプ（音階を持つパートがひとつしかないので、実質ほとんどリスト・エディターですが）と、スタンダードなピアノロール・タイプを装備。とりわけ“Tracker”タイプのシーケンサーでは、ステップごとにアクセントやスライドを仕込めるため、実機を模したクセのあるサウンドを得ることができます。
▲物理ツマミへのパラメータ・アサインを行なう画面。[LFOS]はLFOの周期、[LFOA]はLFOの振幅を変化させます。下段左のディストーション（[DIST]）は、さもエフェクトのように扱われていますが、一般的なポスト・エフェクトではなく、後述する波形メモリの波形を適宜変化させているのではないか、と思います。加えて、3つの物理ツマミには各々、カットオフ／レゾナンス／LFOなど、6つのパラメータの中からひとつを自由にアサインでき、ゲーム機らしからぬリアルタイム性の高いシンセサイズを楽しめるよう工夫されています。
感涙モノのACID感
さて、ゲームボーイの音源は、矩形波×2チャンネル／波形メモリ×1チャンネル／ノイズ×1チャンネル、という構成になっておりまして、アナログ・シンセやそれに類する音源は搭載されておりません。おそらく、この「GB-303」は、波形メモリの波形を次から次へと高速で入れ替えることにより、「TB-303」特有のサウンドを力技で再現しているものと思われます。カットオフとレゾナンスの位置に応じたサウンドを何百種類と用意している点も驚きですが、何より「ミャオ、ミャオ」というACIDなフィルター・エンベロープを巧みに再現しているさまには、思わず涙が溢れてしまうことでしょう！
他方、脇役に徹しているリズム・パートも負けず劣らず秀逸でして、ノイズ・チャンネルを上手に使ったゲームボーイらしさあふれる使い勝手の良いプリセット・サウンドが、計30種類搭載されています。本機だけでアンサンブルを組み立てられるのは、実機にない強みです。
カスタマイズも楽しい
写真のツマミを見て「おやっ！？」と思われた御仁はいらっしゃいますでしょうか。そうなんです！ 303らしさが10倍くらいアップするのではなかろうか、と思い立ち、Roland Online Storeの製品保守パーツから「TB-03」のツマミをお取り寄せして、本機のツマミに被せてみたのです。ちょっと加工が必要でしたが、気分がアガるうえに操作もしやすくなって、たいへん満足です。
残念ながら私は所有していないのですが、ゲームボーイ・アドバンスのシルバーにこのカートリッジを装着したら、もっともっとTB感が増しそうですよね。
ギャップ萌えなサウンドです
というわけで、最後にデモ演奏をお送りいたします。……これがホントの“ACID JAZZ”、なんちゃって。
可愛げのあるチップなサウンドから、実機顔負けの「ミャオ、ミャオ」感あふれるサウンドへとモーフィングしていく様子、そして、そのギャップを楽しんでいただければ幸いでございます。ドラムには「Super MIDI Pak」を使い、『MOTHER2 ギーグの逆襲』の音色を鳴らしました。同作は、サウンドに全容量の1/3を割いたらしく、サンプリング・ネタが豊富で、発掘作業が楽しくて仕方ありませんでした！
