ガルパン戦車の汚し考


模型を作り始めたのは、僕が立ち上げた“ミリタリー色の強いゲーム”の企画が、開発フェーズに移行し、しばらく経った頃でした。ゲームを作りながら、自分はなんてミリタリーに疎いんだ! と猛省し、一念発起して、サバゲーとAFV模型作りを始めたのです。

そんな折、奇しくも、アニメ『ガールズ&パンツァー(GIRLS und PANZER、以下ガルパン)』の放送が始まります。アニメのヒットとともに、AFV模型の周辺が大いに賑わっていったのは、記憶に新しいところでしょう。学びの機会が増えたうえ、モチベーション・アップの追い風にもなってくれたので、僕はなんて運が良いんだ、と今でも感じます(笑)。

さて、その『ガルパン』に登場する戦車を模型でどう表現するか、について、僕なりの考え方をご紹介します。

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まず、考え方は大きく2つに分かれる、と思います。ひとつは、汚さない、という考え方。もうひとつは、汚す、という考え方。僕は、後者の考え方を採用しました。

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素直に見れば、劇中の戦車は、ほとんど汚れていません。しかしながら僕はそれを、“画”として全体を俯瞰しバランスを取った結果、加えて、毎週放送するアニメの中でできる表現を採用した結果、なのかな、と考えました。言い換えるならば、日本文芸の表現技法である“見立て”に近いものかな、と判断したわけです(「ティーガーIのエンジン・グリルがない」なども、同様のイメージです)。

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そうなると、立体物たる模型ならば、戦車同士が戦ってできた傷痕を現実に則した形で付加しても問題ない! という発想が生まれますが、今度は、どこまで汚すか、という問題に直面することになります。

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僕は、汚す、という行為/テクニックを考え直すことにしました。汚す工程は、塗料や道具の発達のおかげで、ともすれば、ルーチンワーク化します。ルーチンワーク化した汚しは、“ガルパンのデカールが貼られただけのいつもの作品”を導いてしまう気がしました。そこで、甚だ面倒ではありますが、劇中の事象をリアルに置き換えつつ、時間軸どおりに汚れを積み重ねていくことにしました。

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草原を走ったから、跳ね飛んだ泥がつく。舗装された道を走ったから、泥が乾いてこぼれ落ちる。逸れた榴弾の爆発で瓦礫が降ってきたから、車体上面に積もる。シュルツェンを弾き飛ばされたから、その基部が折れる……。そういうことを、チマチマと繰り返しました。まだまだ精進しなくてはなりませんが、じっくり考えながらものづくりをすることができ、とても有意義でした!

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