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ハイブリッド・ドラム・マシンの真打ち登場か!? Behringer「RD-9」

これで私の手元に、Behringerの“Mid-O”クローンこと、「TD-3」「RD-8」「RD-9」が揃いました。いつごろ販売再開されるのかわかりませんが、「TD-3-MO」も購入して、“リアル「ReBirth RB-338」の贋作”を作ろう、と密かに企んでおります。

「RD-9」とは

Behringer「RD-9」は、銘器Roland「TR-909」をお手本に作られた、アナログ&デジタルのハイブリッド・ドラム・マシンです。サウンドのみならず、制作フローもオリジナルを踏襲。16個並んだ[STEPキー]を鳴らしたいところだけ押していく、いわゆる“TR-REC方式”と呼ばれるスタイルで、ドラム・マシン然とした打ち込みを簡単に実現できます。

ちなみに、カラーリングや操作子の佇まいから、パッと見の“そっくりさん度”はかなりハイ・レベルなのですが、パネル・レイアウト、エフェクト・パート、そして内部のソフトウェアなど、ほとんどの部分が兄弟機である「RD-8」をベースに設計されており、「TR-909」所有者よりもむしろ「RD-8」所有者の方が、迷うことなく使いこなせるのでは、と思います。

現代アレンジの利いたヤオヤ風ドラム・マシン「RD-8」「“手打ち風”は手打ちにあらず」「“本格派”は本格にあらず」という話を聞いたとき、とても「ほえー!」と思ったものです。一方で、2...

小品を作ってみました

さて、「RD-9」を使って小品を作ってみました。本来ならば、本体内で打ち込みを完結し“アナログならではの揺らぎ”だったり“独特な制約をクリエイティブに変換する楽しみ”だったりを味わうべきなのかもしれませんが、他機材との兼ね合いを考慮し、MIDI制御で鳴らしております。

小品のテーマは、レゲエを歌うドラム・マシン。なぜ、突拍子もなくレゲエなのか!? と申しますと、Sleng Teng Riddim(スレンテン・リディム)と呼ばれる、レゲエにコンピュータライズ革命を起こしたリズム・パターン(「ブブブブ、ブブブブ、ブブブブ、ブッブ」)が、実はCASIOキーボードの“プリセットまんま”だった、という内容のWeb記事をつい最近読んで、大きな感銘を受けたためです。オリジネーターは、1981年にリリースされた「Casiotone MT-40」なのだそうですが、現行製品の「SA-76」にもほぼ同じフレーズが搭載されている、とのことで、たまたま家にあった「SA-76」を引っ張り出してきまして、先人に思いを馳せながらキャッキャと遊んでみた次第、というわけでございます。


レゲエとは言いつつも、音の参考にしていただけるよう、空間系のダビーなお化粧を一切施さず、ド直球に仕上げました。サンプリング素材とはひと味違う粘り気や面白みが伝われば幸いです。

ところで、たいした告白ではありませんが…… 私、808よりも断然909派なんです。909の音で満ち満ちていた90年代のJ-POPを聴いて育ったからでしょうか。“テシッ!”“タシィイ!”というあのスネアの音がたまらなく愛おしいのです。

「RD-8」同様、独自アレンジも満載

「TR-909」らしさは、「RD-9」が持つ魅力のひとつに過ぎないのかもしれません。指定の音色を「タタタタタ……」と連打する“ノート・リピート”、つまずいたように同じ箇所を再生する“ステップ・リピート”、ハイ・パス/ロー・パスを切替可能な“アナログ・フィルター”、アタックとサステインを調節し、コンプレッサーのような効果を生む“ウェーブ・デザイナー”、ラチェットを織り込める“RPT機能”、USBケーブルでDAWと同期できる“USB MIDI機能”など、「RD-9」には、現代プロダクションで重宝するであろう当世風アレンジがたくさん盛り込まれています。

中でも特にアナログ・フィルターは、ツマミの動きを記録/再生/調整できるオートメーション機能を有しており、機械的な演奏にダイナミックで有機的なエッセンスを与えてくれる強力な味方となってくれることでしょう!

そのほか、同価格帯のプロダクトでは類を見ない、11系統のパラ・アウト出力を装備している点も見逃せません。音色を単独出力できる、ということは、パラでレコーディングできるのはもちろん、ライブにおいても各音色のパン/エフェクトを個別に調整できるので、たいへん便利です。ただし、単独出力する際は、アナログ・フィルターやウェーブ・デザイナーの回路が強制的にスルーされてしまう(正確には、エフェクト・パートの前段階で出力される)、という仕様になっているため、注意が必要です。

スネアがいま一歩

最後に、肝心のサウンドについての所感をば。

金物類が激似なおかげで、一聴して「909系の音だ!」と認識できる水準を満たしてはいるものの、一歩下がって総合的に受け止めると、世に数多出回っているエミュレーション系のソフト・シンセの方が“似ている感”は強いと思いました。なんせ、バスドラが全然似てくれないのと、スネアが音痴(胴鳴りが調子ハズレでやたら大きい)なんですよね……

◆Roland「TR-909 Software Synthesizer」(前)とBehringer「RD-9」(後)のスネアの比較

スネアに限れば、同じく安価なハイブリッド・ドラム・マシンとして確固たる地位を築いたIK Multimedia「UNO Drum」の方が、ニヤリとさせられるギミックも含め、一枚も二枚も上手でしょう。

「UNO Drum」は、スネア以外も一級品でした発表時から、やたらとスネアの音色に注目が集まっていた、IK Multimedia「UNO Drum」をようやっと購入しました。同社の「U...

とはいえ、安っぽさを微塵も感じさせないアナログの繊細なサウンドや、ツマミとの連携から生まれる躍動感には何にも代えがたい魅力がありますから、「実機に似せたいんだ!」という欲求とは別のベクトルで、大いに活躍してくれそうな気がします!

なんだかんだ言っても、いやぁ、やっぱりイイ音です
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