sound

エフェクターの使用感が180°変わる、strymon「NIXIE」

新製品というわけではないのですが、先日発見した“カトちゃんのクシャミ”のような名前のこのソフトウェア、とても使い心地が良かったので、ご紹介させていただきます。

「NIXIE」とは

strymon「NIXIE」は、同社のディレイ・エフェクター「TimeLine」、リバーブ・エフェクター「BigSky」、モジュレーション・エフェクター「Mobius」専用のライブラリアン・ソフトウェアです。

平たく言うと、プリセットをパソコンにセーブしたり、本体にロードしたりできるソフトのことで、本体に収まりきらないプリセットをパソコンに退避して、使いたいときに呼び出す、というのがメインの使い方になるかと思います。

何ができるの?

▲「NIXIE」にて、リバーブ・エフェクター「BigSky」をエディットしている画面。左側のリストがパソコンに保存されているプリセットで、右側のリストが本体メモリーに保存されているプリセットです。ドラッグ・アンド・ドロップで入れ替えたり上書きしたりできます。

前項でも触れましたが、基本は“プリセットのATM”です。財布(=本体)に入りきらないお金(=プリセット)を安全な場所(=パソコン)に預け、必要なときに取り出して使う。そういったことができます。

加えて、(ATMの例えではうまく説明できませんが)一つひとつのプリセットがファイル化されるため、他者が作ったプリセットを「NIXIE」を介して自分の本体に取り込む、または、自分が作ったプリセットを「NIXIE」でファイル化して配布する、という使い方も可能です。

また、接続した機器のファームウェアを自動で検知し、それよりも新しいファームウェアが公開されている場合にはアップデートを促してくれる、という機能も有しています。とかく込み入った作業になりがちなファームウェア・アップデートが半自動でツルッと済んでしまうのは、それに苦手意識があろうとなかろうと嬉しいものです。

もうひとつの、できること

ということで、ライブラリアンの機能としては、以上で必要十分なのですが、実はもうひとつ“できること”があります。それは……

▲「NIXIE」にて、ディレイ・エフェクター「TimeLine」をエディットしている画面。VSTやAUに対応しているわけではありませんが、ほとんどプラグイン・エフェクトのような感覚で扱えます。

「NIXIE」上のGUIからプラグイン・エフェクトのように本体の操作をすること&本体での操作を「NIXIE」上のGUIに反映すること、つまり双方向のエディットが可能なのです。

いくら「TimeLine」たちがラック・エフェクター級の高品位な機器であるとはいえ、形としてはストンプ・ボックスそのものですから、パラメータを調整しようとするたびに足元に手を伸ばさねばなりません(シンセのお供で使うときは机の上に置くんですけど、ギターのお供で使うときは何故かやっぱり床に置いてしまいます)。そういった際に「NIXIE」を使うことで、「手を伸ばすのがちょっと面倒くさくなってきたなぁ、もうこんなモンでいいかなぁ……」という“己の弱さ”をシステマチックに克服できます。

そうして苦労の末にできあがったプリセットは、すかさず左側のリストにポイッと放り込んでおきましょう。たったそれだけの手間で、そのプリセットが忘却の彼方へ消え逝くことはなくなります。

使い勝手の良いハードウェアは最高です

デジタルのエフェクターはその特性上、処理をデジタル内で完結させる方が(つまり、プラグイン・エフェクトの方が)間違いなくサウンド的に有利なはずなのですが、strymonのプロダクトは、プラグイン・エフェクトでは絶対に出せない雰囲気を作れるうえに、並べたときの見栄えが良いので、つい買ってしまいたくなるんですよね…… 今後は、「NIXIE」と併せて、活躍する機会がさらに多くなりそうな予感です。

最後になりましたが、strymon「NIXIE」のダウンロードはコチラです!

関連記事はこちら